株式会社ニコンソリューションズ|Japan
「樋口牧場」様は、熊本県菊池郡大津町で営農されている牛の繁殖農家さんです。
ご夫婦ともに牧場で生まれ育ち、牛が好きということで、必要なスキルやノウハウを専門的に学ばれ、それぞれご実家にて経験を積まれてきました。そんなお二人が出会い、結婚されて、「将来、自分たちの牧場を持ちたい!」という夢を叶えられたのは、2020年4月のことです。
ほとんどの作業は共同でおこなわれておりますが、旦那さまは畑仕事や、牛の爪切り、角切り、去勢など、より力を使うお仕事を、奥さまは子牛の健康管理や治療、牛群管理、人工授精などを担われているなど、うまく分担されて協力し合っている素敵なご夫妻です。
実証実験段階の2023年2月から「NiLIMo」を使っていただき、ちょうど1年ほどたったところで、実際の使用感や、導入前後で何か変わったところがあったのか等について、取材いたしました。
現在、成雌牛飼養頭数は何頭ですか?
繁殖牛は計65頭ほどです。(2024年3月時点)
子牛の販売頭数は年間おおよそ何頭でしょうか?
販売数は年間50頭強です。残りの牛は、繁殖のために自家保留をしています。(2024年3月時点)
私たちは牛を自分たちの子供のように考えていて、ストレスを与えないよう、体調不良をすぐに発見してあげられるように気を付けています。特に、まだ抵抗力の弱い子牛には常に皆で目を光らせて観察していますね。
飼料畑の広さはおおよそ何ヘクタールでしょうか?
私たちの農場は、借りている土地も合わせて約12ヘクタールの飼料畑を所有しております。(2024年3月時点)
NiLIMo導入前の分娩に関する課題は何でしたか?
私たちは、牛の世話をする以外にも、競りに行ったり、また自分たちの子どもの行事で牛舎を空けなければならないことも多くあります。そして、そういった外出時に限って分娩事故が起こってしまうケースもありました。また、導入前は、分娩間近になると毎日牛舎に見回りに来なければなりませんでした。見回りは、寒い日でも夜間でも交代で行う必要があり、とても負担の大きい作業です。
そこで監視カメラを導入したのですが、監視カメラも結局自分で映像を見ないと確認ができないので、目を離すことができないという難点がありました。また、「NiLIMo」導入以前は、牛の体内に分娩を検知するセンサーを挿入していました。しかし、センサーを消毒して挿入する作業自体もかなり負担があり、なおかつ牛にとってもストレスになってしまうのが大きな悩みでした。
NiLIMo導入後の効果はいかがでしょうか?
「夜、安心して眠れるようになった」というのが、一番助かっている部分です。牛がいつ産気づくか分からないので、導入前は夜間でも常に気を張っていなければなりませんでしたが、そういった負担が大きく軽減されました。
また、出先にいる時も、分娩状況を通知してくれてライブ映像で確認できるので、難産や羊膜をかぶったまま子牛が生まれてきてしまったなどの異常なお産の際に、すぐに戻って対応できるようになった事も大きな変化です。
繁殖農家は、子牛を健康な状態で育成・販売することが役目です。そのため、私たちは子牛の分娩事故ゼロを目指して農場の運営をしています。
牛の飼育をするのは私たちですので、私たちが見回りや監視に時間を取られて健康を損なってしまうと、牛の生育にも影響が出て、悪循環が生まれてしまいます。「NiLIMo」の導入後は、飼育する側の私たち自身の健康を損なうことなく、子牛の事故率を下げる事が出来るため、導入の効果は非常に高いと感じています。
牧草作業なども、以前は夫婦のうち1人が監視で牛舎に残り、もう1人が牧草作業を行うなどする必要がありました。しかし、「NiLIMo」のシステムは、分娩前の兆候も通知で知ることができるため、今は2人同時に牧草作業を行うことができ、作業効率が大きく改善されています。
また、映像だけで分娩の兆候を検知できるようになったため、牛の体内にセンサーを挿入する必要がなくなったことも、大きな負担軽減となりました。消毒や挿入など、私たちの作業自体も不要になりましたし、何より分娩前の牛にとってもストレスなく過ごしてもらえることがとてもプラスになっていると思います。
「NiLIMo」であれば、AIが映像から分娩兆候を検知し、音声でお知らせしてくれるということで、監視カメラの「目を離すことができない」という難点や、牛の体内にセンサーを挿入するタイプの「作業自体の負担や牛のストレスの回避につながる」と考え、導入することに決めました。
今後は飼育する牛の数を増やすことを考えています。繁殖農家の仕事はやることが多く、牛の飼育や分娩の世話、健康管理、子牛の育成などのほか、畑で牛が食べる牧草を育てる牧草作業や、牛を仕入れるためのセリに行く仕事もあります。「NiLIMo」の通知機能とライブビューを活用して、牛へのストレスもなく、私たちの労働時間も増やさずに効率的な牛飼いができればと思っています。